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第315巻 検察権力とマスコミが一体化したクーデター4 など

2010 - 07/12 [Mon] - 15:47

   西松&郵便&水谷捏造事件の真相 ●最新版
  (官僚&マスコミによる民主主義破壊批判大全集)


■官僚&マスコミに関するものすごい数の批判意見をリンク転載していきました。参考にしてください。

第315巻 検察権力とマスコミが一体化したクーデター4 など

小沢問題をどう考えるか (上) (中) (下)
-検察権力・マスコミ報道との関連で(下)
木村 朗 (きむら あきら、鹿児島大学教員、平和学専攻)
(まとめとして全文掲載させていただきました。)
(続き)
(3)小沢氏と民主党が攻撃された理由 (その二)
─マスコミの迷走とメディア改革の動向

検察庁  ここで、もう一つの喫緊の課題に目を転じてみよう。それは、検察改革と並ぶ、いやある意味でそれ以上の決定的な重要性を持っていると思われる、メディア改革に関する問題である。これまで見てきた小沢問題では、検察による恣意的な強制捜査と違法な取調べによる直接的な人権侵害ばかりでなく、検察のリーク情報に依存したマスコミの過剰な偏向報道と、その影響をまともに受けた世間の人々のバッシングという深刻な報道被害が小沢氏とその関係者に対して生じていることは重大である。

  それでは、なぜマスコミはこのような 「検察の正義」 を自明視した一方的な取材・報道をし続けるのであろうか。ここでの最大の問題は、マスコミが検察の監視役ではなく、「検察の正義」 (あるいは 「正義の検察」) という前提を無批判に受け入れて、検察の 「最大の味方」 となってその露払いや煽り役を果たしてしまうことである。

渡辺  フリージャーナリストの青木理氏は、検察とメディアの関係について、「検察というのは、まさに権力の中の権力。特にメディアは検察に一切歯向かうことはできない。新聞・テレビにとって検察は最大のタブーといってよい存在だ」 とし、「検察とメディアは完全なる “共犯関係” を形作っている。鈴木宗男氏は 『マスコミは反権力といっているが、本当のところは、権力に踊らされているのではないか』 と問題提起をしていたが、実に鋭い指摘だと思う。マスコミは検察とベッタリの関係に慣れきっている」 と批判するとともに、マスコミが検察に対してこれほど弱腰なのは 「検察が極めて重要な情報源だから」 であり、新聞というメディアが存亡の危機に陥っているのはネットのせいばかりでなく、「新聞が果たすべき本来の役割、権力監視と権力の真相に迫る分析・解説を試みるという役割を果たしていない点に大きな原因がある」 と鋭い指摘をしている (「検察とマスコミは共犯だ」 『月刊日本』 2010年1月号を参照)。

後藤  さらに、「むろん、検察が “世論に風を吹かせる” ために流すリークは大いに問題だが、これもその情報を無批判に垂れ流すメディアの側に問題があると言える」 とし、「検察リークを受けて報道がつくられているというより、むしろメディア自らが進んで検察の提灯持ちに走っている、というのが実態に近いはず」 「事件捜査のムードはまずメディアや世論、あるいは政治の要請によって作り上げられる場合も多い」 と述べ、「今の新聞やテレビでは、検察の動きをいち早く掴んで報じるのが “特ダネ” とみなされる傾向が強い。畢竟、メディアの記者たちは検察官と同じような視線になってしまい、検察側に寄り添って大掛かりな取材を繰り広げる。時には検察の先回りをして世論を煽る。巷間言われているほど検察リークというのはおそらく多くない」 とその原因を構造的問題に求める重要な指摘を行っている (「マスコミよ、目を醒ませ!」 『月刊日本』 2010年3月号を参照)。

完全無罪  また、月刊 『創』 2010年4・5月号の 「〈座談会〉 検察報道で批判を受けた新聞ジャーナリズムの危機 (桂敬一×原壽雄×魚住昭×豊秀一)」 の中で、魚住昭氏は 「そもそもどんな事件でも、事件報道は基本的に捜査当局の太鼓持ちにならざるを得ないんです。 …それは検察が意図的にリークしている・していないという問題というより、構造的問題であることを押さえておかなければいけない」 とし、「ただ今回は今までの検察報道よりも捜査情報の核心部分の情報、たとえば供述の内容であったり口座間の資金移動であったりという情報がものすごく流れています。しかもかなり早い時期にです。僕が検察担当をしていた経験からすると、時期的にも量的にもちょっと異常なんです」 と語っている。また、原壽雄氏は、小沢事件で 「検察はいつも正義ではないんだ」 という常識が芽生え始め、「検察批判が大衆レベルまで転化した」 ことを指摘し、「小沢不起訴になってから検察の危機が言われていますが、それ以上に、今回はマスコミの危機を露呈させたと言えますね」 とマスコミに警鐘を鳴らしている。

  そして、桂敬一氏は、「今回の報道は、検察の思惑に乗せられたというよりも、民主党政権の実現を快くなく思う新聞が、政権の最大の弱点は “政治とカネ” 問題、とくに小沢幹事長の政治資金疑惑だ、と捉え、そこを激しく衝いていく動きを見せ、結果的に意図せざる検察との協同作業を生み出す状況になったのではないか、と思います」 と本質的な問題を提起している。各論者の指摘はいずれも重要で傾聴に値する意見だと思う。

img_1547703_48263367_0.jpg  このようにマスコミが検察批判をできない理由には、検察とマスコミの関係に見られる構造的問題があることが明らかになったと言えよう。それでは、マスコミが小沢氏や民主党を攻撃する検察に同調・加担する直接的な理由はいったい何であろうか。その理由は、やはり小沢氏や民主党が掲げるメディア改革に求めなければならないだろう。

  ビデオジャーナリストの神保哲生氏は、民主党のメディア改革政策について下記のように伝えている (「民主党政権が実現すると、何がどう変わるか?」 【第5回】 大手メディアが決して報じない、「メディア改革」 という重要政策の中身 DIAMOND online 2009年8月13日)。
  「・政府の記者会見をすべてのメディアに開放し、既存のマスメディアの記者クラブ権益を剥奪する。
  ・クロスメディア(新聞社とテレビ局の系列化)のあり方を見直す。
  ・日本版FCC(米連邦通信委員会のように行政から独立した通信・放送委員会)を設立し、放送免許の付与権限を総務省から切り離す。
  ・NHKの放送波の削減を検討する・・・等々
これらの政策はいずれもマニフェストには載っていないが、民主党の正式な政策だ。記者会見の開放はマニフェスト発表の記者会見で鳩山由紀夫代表自身がはっきりと明言しているし、その他はすべて 『民主党政策集 INDEX2009』 に明記されている。」


  一読すればすぐに分かるように、非常に興味深い内容である。問題は、なぜこのような重要な事実がほとんどの人に知られていないのか、いったいなぜこのような重要な情報をマスコミは報道しないのであろうか、ということである。
  神保氏は、そのことについて、「知られていない理由は、大手マスメディアが民主党のメディア政策をまったくと言っていいほど取り上げようとしないからだ。これらの政策が自分たちに都合が悪いからなのか、それともこうした政策をそれほど重要とは考えていないからなのか、その真意は定かではない」 と述べている (同上)。しかし、もしマスコミがこの情報の重大性を知ったうえで流すことを意図的に阻止していたとすれば自らの保身 (特権・既得権益の保持) のための卑怯な隠蔽行為であり、あるいはマスコミがこの情報の重大性にもし気づいていなかったとすれば自らの無能力を曝け出した愚かな行為であると言わざるを得ない。そして、そのどちらにしてもメディア・ジャーナリズムの自殺行為であることは明らかである。

  民主党の掲げるメディア改革政策の中でも時に注目されるのが、「記者会見のオープン化」 と 「クロスオーナーシップの禁止」 である。民主党は、政権交代後に試行錯誤しながらも、記者クラブ加盟社以外でも記者会見に参加できる 「記者会見のオープン化」 を徐々に進めている。すでに、政権交代後、フリーやネット記者が参加する記者会見の開放は当初期待されたように一挙には実現されなかったが、外務省を皮切りに徐々に進み、 2010年4月現在、外務省・金融庁、法務省、総務省、内閣府の一部 (行政刷新会議)、環境省、首相官邸などでその形態・方法や程度はさまざまではあるが何らかの形でオープン化を実現している。

  まず 「記者会見のオープン化」 であるが、前出の神保氏は、現状の 『会見がオープンになっていなくて、単なる親睦団体であるはずの記者クラブのみにアクセスが認められている』 という状態が問題なんです。現段階では、『記者会見に出られるという特権を享受することで、自らが脆弱な位置に立たされている』 という点が問題です。具体的には 『気に食わないことを言ったり掟を破れば、出入り禁止になるなどの制裁がある』 ので、クラブ構成員は予定調和の範囲内で行動するという仕組みが出来上がっています。1社だけ違うことはやらないし、他の人がある程度を超えていやがることはやらない」 と記者クラブの現状を語るとともに、「会見がオープンになるということは、会見に出られることが特権ではなくなることを意味します。これは、ほんの一面に過ぎません。もっと大事なことがある。それは、『記者がどんなにイヤな質問をしても、それを理由にして会見に出られなくなることはない』 ということです。欧米の会見がオープンな理由は、それだけです。反社会的なことをしない限り、出入り禁止はないということです」 と記者会見をオープン化することの利点を強調している (「テレビがなぜ 「新聞再販」 報じないか 民主新政権のマスコミ政策に注目」:連載 「テレビ崩壊」 第10回<最終回>2009/9/ 6、ビデオジャーナリスト・神保哲生さんに聞く)。
権力構造
  この問題を神保氏などとともに最も強く主張してきたのが上杉隆氏である。上杉氏は、「確かに、小沢一郎も権力である。だが検察もまた国家権力である。なぜ日本のメディアは、双方の言い分を公平に扱って、読者や視聴者に判断を委ねることをしないのか。なぜ日本の記者クラブは、世界のジャーナリズムで当然に行われている権力報道のルールから逸脱することが許されるのか」 と日本の記者クラブに対する根本的疑問を提起すると同時に、「検察と司法記者クラブで作られる “官報複合体” の影響力は絶大だ。あらゆる事件に対してそこに疑義を差し挟むことは許されない。とりわけ日本のメディアで仕事をする者は全員、その “権力複合体” の前では、黙るか、傅くか、あるいは排除されるのかのいずれかしか道は残されていなかった」 「検察の暴走を報じない日本の新聞・テレビなどの記者クラブメディア。日本は再び、“大本営発表” が蔓延る、あの戦前の暗黒時代に戻ろうとしているのではないだろうか」 と述べて、検察と記者クラブメディアを共生 (癒着) 関係が生み出した “官報複合体” の実態を暴露・批判している (「小沢問題で検察リークに踊らされるメディアへの危惧」 【第110回】 週刊上杉隆 DIAMOND online2010年1月21日より)。

  さらに、上杉氏は、記者クラブの発表報道にようやく疑問を呈しはじめた各閣僚の発言、たとえば、「特捜部にも説明責任がある。何の事件か分からないというのが率直な感想だ」 (中井洽国家公安委員長)、「検察の言うことが100%正しいということは絶対にない。冤罪捜査もいっぱいある」 (赤松広隆農林水産大臣)、「『関係者』 という報道は、何の関係者なのか分からない。検察の関係者なのか、被疑者 (の関係者) なのか」 (原口一博総務大臣)、「あまりにも一方的に情報が媒体に出てくることで不公平感を感じるところはある。弁護士の話が出てこず、一方的に 『関係者の話によると』 とか、少し一方的かなあという気はする」 (平野博文官房長官) を紹介する流れの中で、原口大臣がツイッター上で行った 「つぶやき」 に注目して、それに全面的な賛意を表明している。

  そこでは、海外メディアの 「報道の5原則」、すなわち、原則1 「推定無罪の原則」 (最初から有罪であるよう印象づける報道はしないこと)、原則2 「公正な報道」 (検察の発表だけをたれ流すのでなく巻き込まれた人や弁護人の考えを平等に報道すること)、原則3 「人権を配慮した報道」 (他の先進国並みに捜査権の乱用を防ぐため、検察・警察の逮捕権、家宅捜索権の行使には、正当な理由があるかを取材、報道すること)、原則4 「真実の報道」 (自主取材は自主取材として、検察・警察の情報は、あくまでも検察・警察の情報である旨を明記すること)、原則5 「客観報道」 (問題の歴史的経緯・背景、問題の全体構図、相関関係、別の視点などをきちんと報道すること) が取り上げられている。この原口大臣の発言は、自分の 『関係者』 発言を非難する報道への牽制という意味合いがあったが、海外メディアでは 「常識」 となっているこれらの諸原則から逸脱した報道を繰り返す日本の記者クラブメディアのあり方に対して警鐘を鳴らしたものとして傾聴に値する内容を持っている (「検察という国家権力にすり寄る記者クラブメディアの醜悪」 【第111回】 週刊上杉隆 DIAMOND onlin2010年1月28日より)。

  また、魚住氏は、前述の座談会の中で、「上杉さんは、クラブ所属にはこだわらない、政府はクラブを解散せよ、とも言っていますが、クラブは記者たちの任意組織であって、政府が作ったものではない」 とし、「ジャーナリストたるもの誰にでもメンバーとなる機会を与え、利用できるようにすることこそ、重要な課題なのだ」 と述べ、「もっと多様な記者会を作っていって、それらを統一的なにしていく必要がある」 と具体的な対応策として記者クラブ撤廃よりも新しい記者ユニオンを作ることを提案している。

  これに対して、同志社大学の浅野健一氏は、「日本にしかない記者クラブ制度は、主要報道機関の社員記者たちがフリー記者らを排除する職業差別である」 ので記者会見の開放だけでは問題の解決にはならないとし、田中康夫元長野県知事が2001年に行った 「『脱・記者クラブ』 宣言を高く評価して、「記者クラブがなくなっても、海外にある 『プレスセンター』 『広報センター』 が残ればいい」 「記者の協会 (ユニオン) をつくることを拒んでいるのが記者クラブであり、新聞協会に加盟する大メディアの正規社員たちだ」 「今こそ、記者クラブ解体、脱 『記者クラブ』 宣言を発するときである」 と独自の観点から持論を主張している。いずれも一考に値する貴重な提言であり、各論者の見解の違いはそれほど大きな問題ではないと思われる。

  さて、メディア改革でもう一つの重要課題が 「クロスオーナーシップ規制・禁止」 問題である。この問題で、原口一博総務相は2010年1月14日に、新聞社が放送局を支配する 「クロスオーナーシップ」 を禁止する法律を制定したいという考えを明らかにした。原口大臣は、その日に外国特派員協会で開かれた講演で、新聞・テレビの 「クロスオーナーシップ」 に関する記者の質問に、「マスメディア集中排除原則、これを法案化します。そして、クロスメディアの禁止、つまり、プレス (新聞) と放送が密接に結びついて、言論を一色にしてしまえば、そこには多様性も、民主主義の基である批判も生まれないわけであります。これを法文化したいと考えています」 と答えている (JCASTニュース2010/1/15、)。

鳩山  これがもし実現すれば鳩山政権が掲げる改革の最大の目玉の一つになることは間違いない画期的な出来事であるが、新聞・テレビ・ラジオなどの大手マスコミはこの問題をなぜか一切報じなかった。講演翌日の1月15日には総務省で定例会見でも大手マスコミはこの問題を黙殺しようとしたことからも、その激しい反発が窺える。しかし、原口総務相はその場においても、ネットメディア 「ビデオニュース・ドットコム」 の竹内梓カメラマンから唯一出された質問に応える形で 「一つの大きな資本体がテレビも新聞もラジオもとると、言論が一色になる。そういうことはジャーナリズムの世界ではあってはならないと伝えられているわけで、いろんな国が出資規制を置いている。そのことについては、私たちもしっかりと、国会でも議論いただいている。その議論をふまえた一定の結論を出していくということを言ったわけです。主要メディアが報じなかったかどうかは、私のコメントできるところではありません」 と改めてその狙いを説明している(JCASTニュース2010/1/15)。

  この問題について、独立系映像メディア 「アワープラネット・ティービー」 の白石草代表は 「問題はどこまで本格的に踏み込んで規制をするか。欧米のようなクロスオーナーシップ禁止が実現すれば放送業界も大きく変わるだろうが、新聞業界の反発はすごいだろう。現在はまだ大騒ぎになっていないので、騒ぎにならないうちに民放連 (会長は朝日新聞出身) がつぶそうとするのではないか」 と語っている (同上)。

  また、ビデオニュース・ドットコムを運営する神保哲生氏は、再販問題を報道しようとしないテレビの姿勢を問う中で 「本来は再販問題の利害当事者ではないはずのテレビが、クロスオーナーシップのせいで、再販問題について報じられなくなっています。テレビが完全に利害当事者になってしまったんです。逆に、新聞社が権力に弱い放送局を持っていることで、権力の影響を受けやすくなってしまっている。クロスオーナーシップは多くの先進国で禁じられているのですが、その理由は “言論多様化の妨げになる” からです」 と本質的な問題点を鋭く衝くとともに、「唯一、この状況を正す方法は、メディア間での相互批判を担保することです。例えばNHKが民放を、雑誌が新聞を、新聞がテレビを批判する、といったように」 とクロスオーナーシップを禁止する意義を強調している (前掲 「テレビがなぜ 「新聞再販」 報じないか 民主新政権のマスコミ政策に注目」 を参照)。

  このように、鳩山連立政権による 「記者クラブ制度改革」 や 「クロスオーナーシップ規制・禁止」 などといったメディア改革に対しては、既存の記者クラブメディア・大手マスコミ側には大きな抵抗・反発があることは、総務省の表明をTV局や新聞が一切報道していないことからも分かるであろう。しかし、既存の記者クラブメディア・大手マスコミ側が自分たちにとって都合の悪いことは報道しないというのは、あまりにも異常であり、権力の監視・批判と国民の知る権利に応えるという言論・報道機関としての自らの使命・役割を放棄するものであると言わざるを得ない。

  この点について、ITジャーナリストの佐々木俊直氏は、その新著 『マスコミは、もはや政治を語れない 徹底検証: 「民主党政権」 で勃興する 「ネット論壇」』 講談社(2010/2/26) の中で、官邸での記者会見を開放しようとしない張本人として平野博文官房長官をやり玉に挙げる一方で、官邸記者クラブの幹事社だった共同通信の記事を例に 「ここまで嘘を書く通信社を、いったいどうやって信じればいいのだろう?」 と記者クラブ騒動を歪曲・黙殺したマスコミを痛烈に批判している (同書、68~70頁を参照)。そして、「日本では、マスメディアのアジェンダ設定能力はいまでも健在だ」 という事実を認めながらも、「マスメディアのアジェンダ独占は、永遠に続くわけではない。おそらく数年後には、インターネットの影響力がマスメディアのそれを凌駕する時期が間違いなくやってくるだろう」 と宣言している (同書、75~77頁を参照)。

  評者もインターネットの時代が予想以上の早さでやってきていることを実感している。しかし、既存メディア・大手マスコミの言論・報道機関としての役割がすでに終わっているとは考えてはいない。むしろ、現在の存亡の危機を契機にして既存メディア・大手マスコミに従事するすべての人々がこれまでの問題点を率直に認識・反省し、権力の監視・批判と国民の知る権利に応えるという本来の自らの使命・役割に徹するならば、新しいメディアとの役割分担を模索しながら滅亡への道から抜け出して再生・復活の活路はいまからでも十分見いだすことができると確信している。現場で日夜苦闘している多くの魂のあるジャーナリストの奮闘を切に願っている(この点で、最近出された 『東京新聞』 の社説 「週のはじめに考える 権力監視と未来の提言」 2010年4月4日付が特に注目される。この小沢問題をめぐる報道を批判的に検証した社説を読んで、新聞もまだ捨てたものではないな、と感じたのは私だけではないだろう)。

  ここまで、上・中・下の3回にわたって、小沢問題を題材に、冤罪・報道被害の防止という観点から検察権力とマスコミ報道のあり方を批判的に論じてきた。私が、小沢氏や民主党に必ずしも全面的な共感・支持を寄せているわけではないことは、 第十六回評論 「今回の選挙結果をどう見るか-小選挙区制の恐ろしさと憲法改悪との連動の危険性を問う(上))」 および 第十七回評論 「今回の選挙結果をどう見るか-小選挙区制の恐ろしさと憲法改悪との連動の危険性を問う(下)」 を読んでいただければお分かりになっていただけると思う。ただ、少なくとも政権交代後に鳩山政権が取り組もうとしている対米関係の見直し (真の独立国家への志向) や、いままで触れてきた検察改革・メディア改革の中には積極的に評価される方向性・内容が含まれていることだけは確かである。ただ、残念なことに、そうした積極的な方向性・内容を持っていたはずのさまざまな改革案が、大きな壁 (既得権益を死守しようとする旧勢力の激しい抵抗・妨害) に直面して少しずつ後退し、その一部が骨抜きにされようとしていることもまた事実である。

  いま現在、日本だけでなく、世界においても政治・経済・軍事・社会など各分野で地殻変動ともいえる大きな変化が起きようとしている。 21世の新しい秩序をいかにして構築していくか、という問題をめぐって大きなせめぎ合い・権力闘争 (凄まじい既得権益・覇権争奪戦) が日本内外の水面下で行われていることも知っておかねばならないだろう。
  長期の日本滞在歴を持つ優れたオランダ人ジャーナリストであるカレル・ヴァン・ウオルフレン氏 (アムステルダム大学教授) は 「日本政治再生を巡る権力闘争の謎」 という論文(『中央公論』 2010年4月号)で、下記のように現在生じつつある事態の本質を見事に捉えている。少し長くなるが、その要点を紹介したい。

  「いま日本はきわめて重要な時期にある。真の民主主義をこの国で実現できるかどうかは、これからの数年にかかっている。 …国際社会で、真に独立した国家たらんとする民主党の理念を打ち砕こうとするのは、国内勢力ばかりではない。アメリカ政府もまたしかりである。 …民主党政権発足後の日本で起こりつつある変化には、実は大半の日本人が考えている以上に大きな意味がある、と筆者は感じている。 …あらゆる国々は表向きの、理論的なシステムとは別個に、現実の中で機能する実質的な権力システムというべきものを有している。 …日本のシステム内部には、普通は許容されても、過剰となるや、たちまち作用する免疫システムが備わっており、この免疫システムの一角を担うのが、メディアと二人三脚で動く日本の検察である。…検察とメディアにとって、改革を志す政治家たちは格好の標的である。彼らは険しく目を光らせながら、問題になりそうなごく些細な犯罪行為を探し、場合によっては架空の事件を作り出す。 …日本の検察が、法に違反したとして小沢を執拗に追及する一方、アメリカは2006年に自民党に承諾させたことを実行せよと迫り続けている。 …いま我々が日本で目撃しつつあり、今後も続くであろうこととは、まさに権力闘争である。これは真の改革を望む政治家たちと、旧態依然とした体制こそ神聖なものであると信じるキャリア官僚たちとの戦いである。 …日本の新政権が牽制しようとしている非公式の政治システムには、さまざまな脅しの機能が埋め込まれている。何か事が起きれば、ほぼ自動的に作動するその機能とは超法規的権力の行使である。このような歴史的な経緯があったからこそ、有権者によって選ばれた政治家たちは簡単に脅しに屈してきた。」
  ウオルフレン氏は世界史的な視野で現在起きつつある事態の正確な位置づけを行っており、私もこうした見方に基本的に同意できる。現在起きつつある事態が示しているのは、誰が国家を実質的に動かしているのか、あるいは世界の覇権を本当に (非公式に) 握っているのは誰なのか、という世界の権力構造に関わる基本問題なのである。

  最後にお一人の方の言葉をご紹介してこの論評をまとめさせていただきたい。その方は前福島県知事の佐藤栄佐久氏で、「いま、日本は全体主義に向かって突き進んでいます。よこしまな権力はそのままにしておいて何かが起こったとき、一番不幸なのは国民です。その種をつぶしていくには、市民と自治体が心を一つにしてそれを監視し、闘っていくことが大事です。『このまちをどうしていくのか』 というとき、力が発揮できるのは地方自治体と市民なんです」 と述べ、最後に 「いまこそ、民主主義、人権とは何かをもう一度考える必要があります」 と結んでおられます (「言論が一つの色になってしまう危うさ」 平成22年2月7日の講演の抄録より)。非常に含蓄に富んだお言葉であり、暗黒社会を知らぬ間に引き寄せるというかつての過ちを再び繰り返さないためにも、肝に銘じておかねばと思います。

  戦争・恐慌・環境破壊・パンデミック・モラルハザードといったさまざまな危機・災いに見舞われようとしているのが、いまの世界の現実です。このような深刻な状況下ある世界において私たちがこれから明るい未来を開いていくためには、こうした厳しい現実を直視しながら、あくまでも希望を失わずに日本と世界をより良くするために一歩ずつ進んでいくしか選択肢はないことをあらためて確認する必要があります。多くの国民が 「歓迎」 したはずの、あの政権交代が意味したものは果たして何であったのか、鳩山政権の本気度だけでなく、私たちの本気度も問われているのだと思います。

(終わり)
2010年4月5日


〈参考文献の紹介〉
・郷原信郎 『検察の正義』 (ちくま新書)筑摩書房(2009/09)
・郷原信郎 『検察が危ない』 (新書)ベストセラーズ(2010/4/9)
・青木 理 『国策捜査―暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』 金曜日 (2008/05)
・新藤宗幸 『司法官僚―裁判所の権力者たち』 (岩波新書)岩波書店 (2009/08)
・魚住 昭・斎藤貴男・大谷昭宏・・三井 環 『おかしいぞ!警察・検察・裁判所―市民社会の自由が危ない』 創出版(2005/08)
・佐藤栄佐久 『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』 平凡社(2009/9/10)
・三井 環 『告発! 検察 「裏ガネ作り」』 光文社(2003/5/7)
・鈴木宗男 『闇権力の執行人』 (講談社+α文庫)講談社(2007/9/20)
・植草一秀 『知られざる真実―勾留地にて―』 イプシロン出版企画(2007/08)
・佐藤 優 『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』 (新潮文庫)新潮社 (2007/10)
・菅家利和 『冤罪 ある日、私は犯人にされた』 朝日新聞出版(2009/8/20)
・柳原 浩編纂 「ごめん」 で済むなら警察はいらない―冤罪の 「真犯人」 は誰なのか? 』 桂書房(2009/08)
・緒方重威 『公安検察 私はなぜ、朝鮮総連ビル詐欺事件に関与したのか』 (現代プレミアブック)講談社(2009/8/1)
・平野貞夫 『 ロッキード事件 「葬られた真実」』 講談社(2006/7/25)
・江副浩正 『リクルート事件・江副浩正の真実』 中央公論新社(2009/10/23)
・山下洋平 『あの時、バスは止まっていた 高知 「白バイ衝突死」 の闇』 ソフトバンククリエイティブ (2009/11/16)
・田中森一 『反転―闇社会の守護神と呼ばれて』 (幻冬舎アウトロー文庫)幻冬舎(2008/06)
・菅家利和・河野義行 『足利事件 松本サリン事件』 ティー・オーエンタテインメント (2009/9/12)
・魚住 昭 『特捜検察の闇』 (文春文庫)文藝春秋(2003/05)
・石塚健司 『「特捜」 崩壊 墜ちた最強捜査機関』 講談社(2009/4/11)
・宮本雅史 『歪んだ正義―特捜検察の語られざる真相』 (角川文庫)角川学芸出版 (2007/05)
・梶山 天 『「違法」 捜査 志布志事件 「でっち上げ」の真実』 角川学芸出版 (2010/2/6)
・上杉 隆 『ジャーナリズム崩壊』 (幻冬舎新書)幻冬舎 (2008/07)
・上杉 隆 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 (小学館101新書)小学館 (2010/4/1)
・神保哲生 『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』 ダイヤモンド社 (2009/7/3)
・佐々木俊尚 『マスコミは、もはや政治を語れない 徹底検証: 「民主党政権」 で勃興する「ネット論壇」』 (現代プレミアブック)講談社(2010/2/26)
・岩瀬達哉『新聞が面白くない理由』(講談社文庫)講談社(2001/09)
・日隅一雄 『マスコミはなぜ 「マスゴミ」と呼ばれるのか─権力に縛られたメディアのシステムを俯瞰する』 現代人文社 (2008/4/25)
・木村 朗(編 『メディアは私たちを守れるか?―松本サリン・志布志事件にみる冤罪と報道被害』 (市民講座いまに問う) 凱風社(2007/11)

〈その他の関連文献〉
・鈴木宗男 『汚名 国家に人生を奪われた男の告白』 講談社(2009/3/27)
・小林 篤 『足利事件(冤罪を証明した一冊のこの本)』 (講談社文庫)講談社 (2009/9/15)
・粟野仁雄 『警察の犯罪―鹿児島県警・志布志事件』 ワック(2008/08)
・朝日新聞社鹿児島総局 『「冤罪」 を追え 志布志事件との1000日』 朝日新聞出版 (2008/5/7)
・朝日新聞 「志布志事件」 取材班 『虚罪―ドキュメント志布志事件』 岩波書店 (2009/05)
・田中森一・田原総一朗 『検察を支配する 「悪魔」』 講談社 (2007/12/6)
・暴走する 「検察」 (宝島SUGOI文庫) 別冊宝島編集部 宝島社 (2009/5/9)
・暴走する 「検察」―情報漏えい、ねつ造、ウラ取引、国策捜査 (別冊宝島Real (041)) 宝島社 (2002/12)
・大谷昭宏・宮崎 学・北海道新聞取材班 『警察幹部を逮捕せよ!―泥沼の裏金作り』 旬報社(2004/06)
・原田宏二 『警察VS.警察官』 講談社(2006/8/3)
・原田宏二 『警察内部告発者・ホイッスルブロワー』 講談社(2005/3/11)
・曽我部 司 『白の真実―警察腐敗と覚醒剤汚染の源流へ』 エクスナレッジ(2007/03)
・曽我部 司 『北海道警察の冷たい夏―稲葉事件の深層』 寿郎社(2003/10)
・坂上 遼 『消えた警官 ドキュメント菅生事件』 講談社 (2009/12/15)
・監督:高橋 玄 『ポチの告白 [DVD]』 出演:菅田俊, 野村宏、伸販売元: 株式会社ティー・オーエンタテインメント 、DVD発売日: 2010/03/15 時間: 215 分
・石田省三郎・江副浩正・多田武・小野正典・伊豆田悦義 『取調べの 「全面可視化」 をめざして - リクルート事件元被告・弁護団の提言』 中央公論新社(2009/12/16)
・小田中聰樹 『冤罪はこうして作られる』 (講談社現代新書)講談社 (1993/4/16)
・秋山賢三 『裁判官はなぜ誤るのか』 (岩波新書)岩波書店(2002/10)
・井上 薫 『平気で冤罪をつくる人たち』 (PHP新書)PHP研究所(2010/1/16)
・矢澤昇治 『冤罪はいつまで続くのか』 花伝社(2009/10)
・『冤罪 File ( ファイル )』 2010年 03月号 [雑誌] (雑誌 - 2010/2/1)
・伊部正之 『松川裁判から、いま何を学ぶか 戦後最大の冤罪事件の全容』 岩波書店 (2009/10/10)
・森 達也 『下山事件(シモヤマ・ケース)』 (新潮文庫)新潮社(2006/10)
・佐々木俊尚 『2011年新聞・テレビ消滅』 (文春新書)文藝春秋(2009/07)
・松橋忠光 『わが罪はつねにわが前にあり―期待される新警察庁長官への手紙』 (現代教養文庫―ベスト・ノンフィクション)社会思想社(1994/06)
・猪熊建夫 『新聞・TVが消える日』 (集英社新書)集英社(2009/02)
・木村喜助 『田中角栄の真実―弁護人から見たロッキード事件』 弘文堂 (2000/09)
・矢野絢也 『「黒い手帖」 裁判全記録』 (現代プレミアブック)講談社(2009/7/1)
・長谷川幸洋 『日本国の正体 政治家・官僚・メディア――本当の権力者は誰か』 (現代プレミアブック)講談社(2009/7/1)
・畠山清行 『何も知らなかった日本人―戦後謀略事件の真相』 (祥伝社文庫)祥伝社 (2007/07)
・藤永 茂 『アメリカン・ドリームという悪夢―建国神話の偽善と二つの原罪』 三交社(2010/03)

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私は普通の老人(男)ですが、戦前を思わせるようなテレビ新聞の報道に自由と民主主義の危機を感じて、個人的なリンク集を作りながら勉強しています。

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